今年の大型連休は、コロナによる人々の行動制限が行われず、全国の観光地は久々に多くの観光客や家族連れで賑わいを見せた。県内でも、砺波チューリップフェアや福野夜高祭、城端や八尾の曳山祭など春を彩る数々の催し物が開催され、春祭りに欠かせない獅子舞も3年ぶりに県内各地で披露されたようだ。

 好天に恵まれた連休中の5月4日には、「早くも沖縄地方で梅雨入りしたと見られる」との気象台からの発表があった。沖縄で思い出したが、皆さんは「5月15日」が何の日か知っていますか。1972(昭和47)年、第2次世界大戦(太平洋戦争)終了後から27年間にわたってアメリカの占領統治下にあった沖縄が日本に返還された日(「沖縄返還の日」)なのです。今年は沖縄返還からちょうど50年の節目の年にあたり、現在放送中のNHK朝ドラ『ちむどんどん』も沖縄が舞台だ。

 思えば、沖縄の人々は私たちの想像を遙かに超える苦難の歴史を歩んできたといえる。江戸初期までは「琉球王国」という独立国であった沖縄が、薩摩藩の支配下(実際は日中両属)に置かれるようになり、明治になって日本国に組み込まれ、琉球藩から沖縄県となった。太平洋戦争末期には「沖縄戦」の舞台となり、多くの民間人が命を落とした。戦後はアメリカ軍による占領統治下に置かれ、返還後も、米軍基地やその関連施設が現在に至るまで県内各地に点在している。

 THE BOOMのヒット曲『島唄』は、沖縄戦で犠牲になった人々への鎮魂歌と言われている。THE BOOMのボーカル・宮沢和史さんは、本当はたった一人のおばあさんに聴いてもらいたくて作った歌だと書き綴っている(おばあさんとは、宮沢さんがひめゆり平和祈念資料館で出会った「ひめゆり学徒隊」の生き残りの女性のこと)。デイゴは沖縄県の県花であり、この時期、燃えたつような赤い花を咲かせるそうだ。私がこれまで唯一訪れたことがない県・沖縄。その美しい自然も魅力的だが、苦難の歴史と今を巡る旅をぜひ近いうちにしてみたいものだ。