先週、先々週の土日は、スキー競技の県民体育大会や県選手権が開催され、私はたいらクロスカントリー場に連日足を運んだ。この間、県高校総体スキー競技会もあったため、家に帰るのが億劫になり、二週連続で土曜の夜は職員寮の自分の部屋に泊まることにした。部屋で自炊(といってもレトルトカレーや麻婆豆腐、カップ麺だが)しながらテレビをつけると、NHKで『ブラタモリ』という番組をやっていた。

 番組のサブタイトルは「絶景・黒部峡谷」。テーマは「黒部の絶景は電源開発の軌跡にあり?」で、何と二週連続で黒部川扇状地から黒部峡谷をタモリとNHK女性アナウンサーが巡るという内容だった。昨年、宇奈月温泉が開湯100周年で盛り上がっていたが、番組を見ていると、宇奈月温泉が黒部川の電源開発の歴史とともに始まり発展していったことがよくわかった。そして、何より私が興味を引かれたのは「黒部宇奈月キャニオンルート」だった。

 これまで宇奈月からトロッコ電車で行けるのは終点「欅平」までだったが、今年から「欅平」から「黒部ダム(黒四ダム)」までの工事用ルートが一般観光客に解放されることになった(1泊2日の基本コースで13万円程度の見込み)。番組はそのルートを紹介する体裁をとっていた。工事用トロッコ、竪坑エレベーター、高熱隧道(ずいどう)、インクライン(一種のケーブルカー)を経て最後はバスで黒部ダムに至るという新たな黒部観光の目玉として注目されている。

 番組を見ながら、あらためて「黒四ダム」建設における苦闘の数々、失われた多くの作業員らの命に思いを馳せた。2002年、NHK番組『プロジェクトX』で「黒四ダム」がとりあげられたが、その年の『紅白歌合戦』で中島みゆきが黒四ダムからの中継で、番組の主題歌だった「地上の星」を熱唱したシーンを思い出した(この時、中島みゆきは紅白初出場で最高視聴率を記録)。-2℃のトンネルの中で、歌詞を間違えるというアクシデントもありながら堂々と歌いきった彼女の姿が今でも脳裏に焼き付いている。